どの部分を「伝え返し」すれば良いの?★キャリコン面接対策
リモートワークも解除され、6月から大学などの外仕事が再開!とはいえ、大学内での感染防止のため、マスク着用でのオンライン相談。学生は自宅だからマスクはしていないのですが、学生がマスク姿の私の表情を読み取るのはなかなか難しそう。だからこそ、信頼してもらえるよう、自分自身の声のトーンやスピード、そして一つひとつの言葉をより丁寧に発するよう気をつけて対応しています。それが功を奏して、以前よりもクライエントの言葉に敏感になれていたらいいなと思いながら取り組んでいます。
クライエントの話のどの部分を伝え返せば良いの?
伝え返しに関しては、悩んでいる方が結構多いんですよね。
- 「伝え返しすると良いと言われても、どこを返せばいいんでしょうか。」
- 「クライエントが言ったことを全部覚えられないので、うまくできないんです。」
- 「最後の方だけ返せば良いんですよね?」
- 「伝え返しをきちんとやっていたら、しつこいといわれたんですけど・・・」
などなど。
そこで今日は、クライエントの言葉に敏感になるためにも大切な「伝え返し」について、その中でも「どこを返せば良いのか」をテーマにしてみます。
確かに、クライエントの言ったことを全部そのまま返したら、かなりうっとうしいですよね(笑)。まずは伝え返しの目的を抑えておきましょう。伝え返しの目的、効果については、こちらの記事で確認してみてください。
では本題です。どこを返せば良いのか、次の問題を考えてみてください。
あなたならどんな「伝え返し」をしますか。
私は地元の市役所で公務員として働いているんですが、ちょっと仕事を辞めないといけないかなーと思いはじめたんですよ。というのも、同居している義理の母が認知症という診断を受けたんですね。今はまだ軽度なので何でも自分のことはできるので、すぐにサポートが必要というわけではないのですが、今後のことを考えると、私が仕事を辞めないといけないかなーと考えるようになりまして・・・。
(あなたがキャリアコンサルとだったらどう「伝え返し」をするか考えてみてください。)
*クライエントが「そうなんですよー!(この人、めっちゃわかってくれる!)」と思ってくれるような内容を考えてみてくださいね。
クライエントの感情、考え方、価値観が表れた部分に注目しよう
どこを返すか、という時に大事なことは、
です。
では、どこにそれが表れているでしょうか。確認してみましょう。
「辞めないといけないかなー」という部分、とても大事です。「辞めたくない」という気持ちがありそうですよね。この微妙な言い回し。もし、「辞めようと思っている」とか「やめようかどうしようか悩んでいる」とか、言葉を換えて伝え返すと、クライエントの言ったことと違う意味になる可能性がありますよね。また、「思い始めた」ということは、「最近なのかなあ」「いつからなのかなあ」というのも気になってきます。
「私が仕事を辞めないといけないかなー」と最初言ったことを繰り返し言っています。ということは、強い思いがあることが感じられますよね。そして、「私が」と言うところも、他の誰でもなく自分がしなければという思いもあるのかなーという感じがしますね。また、「思うようになりまして」も、最初の「思い始めた」と同様に時期が感じられますね。
ということで、私ならこんな感じで「伝え返し」をします。
田中さんは、お母様が認知症になったことから、今後のことを考えると、仕事を辞めないといけないかなーと思うようになったんですね。
正解があるわけではないので、自分なりに「これならクライエントに『そうなんですよー』と言ってもらえそう」という文章を考えてみてくださいね。
「伝え返し」の練習方法
ロープレ練習をしなくても、伝え返しの練習はできます。例えば、クライエントが言った大切な言葉を拾う練習です。「伝え返し」がしっかりできて、クライエントの話を聴けるようになると質問力も上がりますので、ぜひ試してみてくださいね。
逐語記録(過去にロープレをしたものや、論述試験問題など)を使って、感情、考え方、価値観が表れた部分に線を引く。
↓
伝え返す内容を考えて、書き出す。
↓
声に出してみる。
他には、こんな自主トレーニング方法がありますので、お試しください。
【参考】アイビイのマイクロカウンセリング技法では「いいかえ」
参考として、アイビイのマイクロカウンセリング技法で、どのように説明されているかをご紹介します。
アイビイのマイクロカウンセリング技法では、「伝え返し」のことを「いいかえ」と言います。「言い換えること」ではありません。学科試験で過去に何度か出題されているので、間違えないようにしてくださいね。
マイクロカウンセリング―"学ぶ‐使う‐教える"技法の統合:その理論と実際
私は、技法の説明がわかりやすいこの本が好きなので、内容を少しご紹介します。
いいかえについて
カウンセラーのもっとも基本的な仕事の1つは、正確にクライエントのいうことを聴くことである。正しく他の人のいうことを聴き、感じることは、本書のあらゆる技法の根本である。<いいかえ>は、他の人に気持ちを集中していく特別な方法であり、クライエントが言ったことを正確にまたもとのクライエントに返す能力をあなたが演示することが要求される。効果的な<いいかえ>を行うには、ときにはクライエントの気持ちを明確に把握するためにその人物になりきることが必要である。
(中略)
もっとも効果的ないいかえは、次のように成り立つだろう。
1.クライエントの名前および代名詞としての「君」「あなた」。いいかえを個人的に行うことが、より効果的であることがはっきりと証明されている。
2.クライエントのもっとも重要な語句。
3.クライエントの言及したことばの本質をとらえて、濃縮し明確にしたカウンセラーの発言。
もし<いいかえ>がうまくいくと、クライエントはあなたに「はい、そうなんです」といったことばで、たぶんあなたに報いるだろう。(後略)
マイクロカウンセリング―"学ぶ‐使う‐教える"技法の統合:その理論と実際より引用
こちらの本については、過去の記事でも紹介していますので読んでみてください。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません